印鑑の材料のひとつに本柘植のバフ仕上げというものがございます。
櫛等に使用する事の多い木材なのですが、この印材は汚れてしまうと汚れが落ちません。
お客様の中には汚れて使い古していく感じがお好みという方もいらっしゃいますが、手垢や朱肉による汚れが気になるという方は表面にニスを塗ったタイプもございますのでそちらをおすすめ致します。
本柘植のバフ仕上げは温かみのあるやさしい感じで私の好きな印材のひとつなのですが、彫刻時の取り扱いには本当に気を使います。
最近ではナイロンとマスキングテープで汚れ対策をして作業をしています。
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印鑑 お手入れ方法 ~柘植(つげ)~
柘植は印材の中では比較的安価になりますが、耐久性に関しましても水牛や象牙に比べますと弱くなります。
新品の状態が最も強い状態で、年数が経つにつれ朱肉の成分によりだんだんともろくなっていきます。但し「欠け」という面で考えますと重量が軽い分、落としても欠けにくいという印象がございます。
もちろん印面の枠の部分は印鑑の最も弱い部分ですので落としどころが悪いと印材の種類(チタンは例外)に関わらず欠けてしまう可能性がございます。
柘植の印鑑のお手入れにつきましては、上記の通り朱肉に弱い面がございますので、印鑑のご使用後にはティッシュや布等で朱肉を出来るだけ綺麗に拭いていただくという事になります。
水は印材に染み込み悪影響が出ますので、水で洗ったりは絶対にしないで下さい。
登録用の印鑑としてお使いいただくのであれば、印鑑の使用頻度が少ない方向けの印材と言えるかもしれません。
世間では柘植は安物?というイメージがあるかもしれませんが、温かみのある控えめな感じで、私は好きです[:にひ:]
ただ、表面にニスを塗っていない本柘植は、朱肉や汚れが着いてしまいますと取れませんので、印鑑の彫刻時や取り扱いにはすごく気を使います[:ぎょ:]
印鑑のお手入れ方法 ~水牛~
水牛の印鑑は永年の使用により変形や表面にひび割れが出来る事がございます。
これは元々曲がっている牛の角(つの)から印材を採取する為に曲がろうとする力が印材に残り変形する事があるそうです。
また、水牛には中心に芯が通っているのですが、この芯に沿って採取された印鑑はあまり変形しないと考えられております。
但し、私の目で見た感想では20年程経過した水牛の印鑑は(個体差がありますが)印面部分に芯を中心としたうっすらとしたクボミが出来て、印影が綺麗に写らなくなるというものがよく見受けられます。
また、水牛は乾燥に弱い面があり、特に冬場等では乾燥により印材の表面にひび割れが出来る事がございます。
上記の弱点を少しでも補い、永く水牛の印鑑をご使用いただく為には定期的なお手入れが効果的です。
具体的には数ヶ月から1年に一度でも植物性の油を印材の表面にお塗り下さい。
(油が取れるまでは朱肉をはじいてしまいますが、印面部分に油を塗っていただいても構いません)
また、印鑑未使用時には印鑑ケースに入れて熱の持たないタンスや引き出し等に保管下さい。
水牛の印鑑はご使用の環境や気候、保管状況により耐久年数が変わりますが、お手入れにより少しでも永くご使用いただければと思います。
練り朱肉のお手入れ
朱肉にはスタンプ台タイプの簡易朱肉(銀行等によく置いてあるもの)と練り朱肉(印泥)があります。
どちらの朱肉にも一長一短があり、主な違いは「印鑑(印影)の写り具合」と「印影の耐久性」になります。
簡易朱肉はスタンプ台のような感じで手軽に使用出来ますが、写り具合は朱が薄く少し水っぽい印象です。ただ、近年では速乾性の簡易朱肉等も出来て、写り具合も多少は改善されているようです。
また、紙に押した印影が年数が経つにつれだんだんと薄くなってしまいます。
練り朱肉は印鑑へのノリも良く綺麗な捺印が期待出来ます。また、印影の耐久性も良いので、作品等では練り朱肉を使います。但し、練り朱肉は良い状態を保つのにお手入れが必要になります。
<練り朱肉(印泥)のお手入れ>
(1)練り朱肉には油分が多く含まれており、その油分が浮いてきますので、ヘラ等で油分が均等になるようによく練ります。
(2)また、ご購入直後の練り朱肉に多く見られますが、油分が多すぎる場合には油取り紙等で油分を取り除きます。
上記の(1)(2)を何度も繰り返す事によりだんだんと朱肉が良い状態になります。
※梅干しではありません
また、裏技ですが、すぐに綺麗な印影が必要な場合には、冷蔵庫で小一時間冷やしてからご使用下さい。練り朱肉が硬くなり、驚くほど使い勝手が良くなります[:にひ:]